【ARYA:ひとりごと】
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2002.01.13
『ゴジラを観ろ!』

今公開中の「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」は、観るべき映画だよ。
日本の怪獣映画のあり方を見せつけた「平成ガメラシリーズ」の金子修介監督が、昭和29年に制作された第1作目「ゴジラ」の続編として作ったゴジラ映画なんだぜ!
モスラの棲むインファント島や1980年代以降のゴジラシリーズも、設定としてすべて<無視>! 第2次世界大戦、原爆投下の恐怖と影を背負った昭和29年版のゴジラが日本に残した災厄を「忘れてはならない過去」として、インターネットやBSデジタル局が存在する<現在>に戦争の亡霊ゴジラが現れるんだ。大和のくにの守り神としてゴジラに戦いを挑むバラゴン、モスラ、キングギドラ。そして、ゴジラ上陸以来50年以上実戦経験のない日本の軍隊「防衛軍」とBSデジタルQ女性記者の自分の信念を貫こうとする人間ドラマ。

奇想天外なドラマを怪獣映画に求められていないことを、金子監督は本当によく分かっている。破壊される建物のミニチュア精度を求めてしまう気持ちは、擬似的なリアル感が体験したいから。それが、ウルトラマンなど怪獣が登場するTVシリーズと「東宝特撮映画」と呼ばれる怪獣映画の大きな違い。映画では、子供だましでないスケールの大きな「恐怖」と「破壊のカタルシス」を味わいたいのさ。
平成ガメラ・シリーズで成し遂げた、怪獣が動いているだけで発生する2次災害に目を向けることが、実は昭和29年版「ゴジラ」を観て感じた衝撃そのものだったんだね。特撮シーンとシームレスに展開する実写部分がしっかりしているのが嬉しい。不覚にも涙が出てしまった「実戦経験のないことが誇りでありました」というセリフ。日米同時多発テロとその後の日本のことを彷彿させる部分も描かれてた。

特撮シーンはね、良くも悪くも日本の「特撮」してると思いました。デジタル処理で迫力が出た部分がある反面、平面的になってしまった部分もあって。「平成ガメラ」でマニアックにこだわっていた巨大さのスケール感が、ぬいぐるみの巨大感どまりになっている部分も目立ってて(わざとか?)白目で恐いゴジラはいいんだけど、キングギドラはぬいぐるみから離れてもうちょっと自在に動かした方がよかったと思うんだけど。でも、観ていて嬉しかったけどね、怪獣映画らしい特撮シーンだったんで。
エンディングに伊福部の音楽を持ってくるところは、憎いよ、このぉ!って感じだったし。

つっこみどころは満載!なんですが、これは<今>観るべき映画ですよ。
「前世紀末に米国でゴジラと似た巨大生物が現れた」「日本の生物学者はゴジラとは認めていない」「アメリカでは魔女伝説を扱った映画で、舞台となった村に観光客が押し寄せている」「シロウトがデジタルカメラで撮った映像など!」などなど、にやりとしてしまうセリフが楽しめるのは、<今>だからだと思うから。

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