【ARYA:ひとりごと】
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2002.03.09
『オーシャンズ11』

ブラピが出てソダーバーグ監督の最新作となれば、僕としては期待大。
でも観た後の感想は"いまひとつノリに欠ける娯楽映画"って感じでした。

ソダーバーグ監督といえば、珍しく撮影も自分でしちゃう人。映像の知識や技術を熟知した監督さんで、レンズ越しに監督自身が演技を見ていてくれているという信頼感が、俳優さんから絶大な支持を受けてます。その場にある照明をそのまま使うことで現実感を画にするのもウマイ。前作「トラフィック」では、このようなスタイルが映像的説得力となって大成功でしたね。

で、大スターが勢揃いした娯楽大作となる「オーシャンズ11」。脚本もいいし演技のできるスターも出ている。画面づくりや編集、音楽もスタイリッシュ。だけど画面からパワーを感じない。クールな気分のまま見終わってしまう。
ソダーバーグの映像作家としてのスタイルである、役者が過剰な芝居をしないことと、一歩その場から引いた感じのカメラが、娯楽映画のセオリーを用いていても、どこか消化不良。カッコつけすぎって感じですか。
クールな見せ方。それは分かる。困ったことに、僕はそれがキライじゃない。
ただ、「なにかしでかしてやろう!」という時に人間に宿る熱気が、いくらその道のプロ集団だからといっても、表面に見えなさすぎ。せめてその熱気を映像的なドライヴ感に昇華できていたら、「スナッチ」くらい面白くなっていたかも。

芸能界のドンだったフランク・シナトラがその仲間たちと作った「オーシャンと11人の仲間」が誕生した頃、映画の内容よりも、画面にスターが映っているだけでファンは満足できちゃった時代らしいんですよ。スターとしての絶頂期にあったからなんでしょうね。
リメイクされた今回にもスターがたくさん出ていますが、絶頂期のスターって誰?って感じなんで(苦笑)
カジノのドンを演じたアンディ・ガルシアと、老いた詐欺師カールを演じたソール・ブルームは、キャラ特有のオーラがあって存在感があったけど…、肝心のジョージ・クルーニーとブラピとジュリア・ロバーツがねぇ。モデルさんが芝居しているみたいでねぇ。現実的な画づくりの撮り方をして、役者が「地」に近い芝居をしちゃうと、あるべき映画の姿とは別方向の虚構さが表に見えちゃうんですね。(丸の内ルーブル)

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