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見張り 98-03-11
駅から数分歩いたところに自転車の駐輪場がある。
駅から自宅まで歩いて15分はかかるので、自転車は必需品。 どこへ行くにも、必ず立ち寄らなければならない場所である。
その駐輪場の奥に、コートを着た男が立っていた。

翌日、また男が立っていた。昨夜と同じ男だろうか? あまり気にも留めずに、自転車を置いて、駅へ向かった。
ふたたび駐輪場に戻ってきたのは、5時間後。
まだ男が立っていた。駐輪場の入り口に背を向けて立っている。
こ、これは、張り込みだ!
駐輪場の奥からわずかに見える道路の方を見張っているらしい。 たしかに道路からは分からないが、なんて分かりやすい状態で張り込んでいるのだろう!どう見ても見張っているのがバレバレである。

見張る男
写真と現場は関係ありません
しかし、5時間以上も突っ立っているなんて、すごい根性である。
よく美術館の隅にじっと座って見張っている女性がいるが、何もせずにじっとしていられるなんて、なんて悟りの入った行為なのだろう。
僕なら、飽きるか寝てしまうかのどちらかだ。

駐輪場から出ると、道路を折れて、彼が見張っている道路の方へ回り込んだ。
あ、こっちを見ている。僕は、軽く手を振ってあげた。


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