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東京国際映画祭 1998-11-08
BORDER

先週は、東京国際映画祭ウィーク!
この期間だけは、たとえ仕事が詰まっていても必ず1本は観に行くのがお約束。第11回となる今年は、3本だけですが観にいくことができました。
思えば、第4回と京都開催の第7回を除いて毎年足を運んでいます。

渋谷の街
この期間、渋谷の街には映画祭のディスプレイが溢れます。
同じ映画でも、映画祭で観るといいんですよ。
映画祭のメインとなるコンペティション部門と特別招待作品を上映するオーチャード・ホールは、普段クラシックのコンサートをするゴージャスな会場。さすがに生演奏のための音響設計が効いていて、映画の音がメチャメチャ良いんです。というかハデなのね、聞こえ方が。
他部門の会場も設備のいいところばかりなので、大きなスクリーンといい音で映画を楽しむにはうってつけ!特にオーチャード・ホールとシアター・コクーンは、上映中照明を真っ暗に落としてくれるので、スクリーンにしっかりと集中できて最高です。というわけで、映画の最後に流れるクレジット・ロールで席を離れる人がほとんどいません。そして最後に拍手を送るんです。これは自然にできた映画祭マナーのようなもの。

ハード面ばかりでなく映画祭ならではの魅力はいろいろあります。
映画の制作スタッフや俳優が舞台挨拶をして、映画上映後にティーチ・インを行なうんです。これは最も映画祭らしいところ。
『カミーユ・クローデル』を観たときは、主演のイザベル・アジャーニが真っ赤なドレスで登場して大感激。
そういえば『ブラック・レイン』の時、マイケル・ダグラスらと舞台に上がった内田裕也が、「ついさっきまで優作がいたんだけど具合が悪くて帰らせていただきました」と言っていました。松田優作の死はその数週間後に報じられることになりました。
そうそう。自慢ですけど、『デッド・ゾーン』上映で来日したデビッド・クロネンバーグ監督のサインも、映画祭でもらったんです。
昨年ワールド・プレミアだった『タイタニック』でディカプリオが来日した時はすごい騒ぎだったらしいですが、今年は『ジョー・ブラックをよろしく』で僕の大好きなブラッド・ピットが来日するんですよ。残念なことにチケットは手に入りませんでしたが(涙)

これまで観たことのない国の映画が上映されたり、その後公開されるミニシアター系映画のめぼしいところを押さえられたり、スケジュール表を眺めるだけでも妙に嬉しくなってきてしまいます。だって僕、映画学科出身なんだもん!(^_^)
もちろん上映される映画のほんの一握りしか観られないんだけど、その後劇場公開されるのを待ってフォローするのも楽しくて。昨年のファンタスティック映画祭で観た『ムトゥ・踊るマハラジャ』なんて、今年こんなに大ブレイクするなんて思わなかったしサ。

若い監督を支援することが特長の東京国際映画祭ですから、昨年まで<ヤングシネマ部門>(今年はコンペティション部門と融合しました)の作品は、どれか1本は観るようにしています。映画に対する情熱や夢がフィルムに定着している新人監督作品は、数百本のエントリーから選ばれただけあって見応えがあります。
去年と今年、大胆にもティーチ・インで質問を投げかけてしまいました。通訳を挟みながらの発言って慣れないと難しいんだよね。いい勉強になりました。

でもね。 映画祭ウィークの終わり頃になると、いつも決まって鬱になるんです。
観られなかった映画を悔やむ気持ちもありますが、映画に夢中になっている自分を顧みて、いろんな疑問がわき上がってきちゃうんです。
美大を出た人でアートやデザインの仕事に就いている人は多いけど、じゃあ映画学科を出た自分って本当は何をしたかったのだろう?って。
大丈夫。1週間も経てば、また元に戻ります。
でも、覆われた氷の下では、映画への想いを込めた冷たい水がいつでも横たわっているのかもしれません。

今年観た映画:
フェアリーテイル
スモーク・シグナルズ
 (最優秀芸術貢献賞受賞作品)
ロック・ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ
 (最優秀監督賞受賞作品)
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