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フェアリーテイル
FAIRYTALE A TRUE STORY 1998 UK 98min. Vista
1998-11-3 東京国際映画祭・英国映画祭(シアター・コクーン)

子供の頃、これは本物なのかなぁ?とふしぎに感じた有名な写真に、<コートを着た男たちに両腕を引っ張られている小猿程度の大きさの宇宙人>と<少女のまわりを飛ぶ妖精たちのポートレート>がありました。
特に後者は「この写真は合成で作られたものではないと証明された」という解説が、頭に焼き付いています。写真に映っている少女たちは、生涯妖精の実在を言い続けていたとも。

「フェアリーテイル」は、妖精と一緒に写真に映った少女2人を題材にした映画です。原題に"TRUE STORY"とついているのが興味深いところ。

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観ている間からすごく優しい気持ちになれる映画です。
妖精事件の真実という分析的な大人の視点ではなく、心の救いを求めている大人たちの姿を背景にして、妖精が存在する世界に生きる少女たちの視点で映画は語られます。
少女たちが、自分たちだけの秘密だった妖精を写真に収めてしまったことで、大人たちが動揺してしまっただけなんです。
彼女たちは、それでも大人になっていくことを拒みませんでした。妖精を見ることができなくなっても、その存在を信じているから…。
イギリス人にとって、妖精には特別な想いがあるのでしょうね。ケルト文化からきた民俗信仰的なものなのでしょうか。

真実だけを追うのでしたら、画面に妖精が飛び回るシーンはなくても十分だったと思います。でも、映画には自在な視点で飛び回る妖精たちが映し出されます。この映画は少女2人にとっての現実、だから"TRUE STORY"なんだということが純粋に表現されているようで、好感を覚えました。
妖精のシーンは、それが挟み込まれることでウソっぽくならないよう、注意深く丁寧に作られています。ちょっと羽虫のような動き方なのが本当っぽかった。どうやってカメラを動かしていたのか不思議なくらいの、宙を自在に動き回る視点が見事でした。

少女たちも素晴らしい演技でした。
2人の少女というと、名作「ミツバチのささやき」 を思い出してしまいますが、この「フェアリーテイル」も大切にとっておきたい作品です。 時代背景を、コナン・ドイル卿とフーディーニの2人で分からせてしまう点もうまかったと思います。その大役を、ピーター・オトゥールとハーヴェイ・カイテルが演じていて、映画が締まりました。オトゥールはやっぱり品格がありますね、健在なのを嬉しく思いました。


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