「ブレードランナー」de チャット[前編]

「2001年宇宙の旅」と「ブレードランナー」は、ぼくらの年代で映画好きを自称するには鑑賞必須の映画でした。SF好きでない人も、一応観とけ、って勢いで。
今週末、WOWOWで〈「ブレードランナー」スペシャルナイト〉が開催されます。[ファイナルカット版(2007年)]と[オリジナル劇場版(1982年)]、そしてメイキングの「デンジャラス・デイズ」がハイビジョン・日本語字幕放送。
すでにソフトを持っているにもかかわらず、祭りがあるとなるとわくわくせずにはいられません。
「ブレードランナー」は、マニアさんがたくさんいるし、ネット上でも語り尽くされています。そこで今回は、マニアックな映画ねたで盛り上がれるグラフィックデザイナーの〈ながっち〉に登場してもらい、スカイプで「ブレラン」チャットしたものをまとめました。
TZK実は最初に公開されたデッカードのモノローグ入り「ブレードランナー」には、それほど強い思い入れはなかったんですよ。画面の世界観と音楽には陶酔したんだけど、モノローグがね、画面から自分が感じ取ったものとすごくかけ離れていて、全然感情移入できなかったの。
モノローグがカットされた「ディレクターズカット」を観たときは、それまで何度も観てるはずなのに、映画の世界に素直に入り込りこむことができて、すっごい感動でした!
その時は渋谷パンテオンの大スクリーンで観ることができたので、余計感動したのかも。冒頭の炎吹き上げる近未来のLAが、視界いっぱいに映し出された時、まじ泣きそうになっちゃった(へへ)
ながっち僕はロードショー時は見ていなくて、あとから知人にススメられて観たんですよ。
普段なら冷静な彼が、『強力わかもと』とか『TDK』とか興奮気味に話していて、最初は何の事やらわけがわからなかった(笑)
で、一番最初に観たのがデッカードのモノローグが入った「ブレードランナー」。ストーリーよりも、SFXや美術や音楽にとにかく感動しました。
TZKながっちの冷静な知り合いを、そこまで興奮させてしまった日本語の看板!(笑)
『強力わかもと』のインパクトは、たしかにでかかった!アジア人がごっちゃになった近未来でも、やっぱ日本はゲイシャ・ガールなのかーって。そのゲイシャガールが「強力わかもと」を1粒口に放りこんで微笑むんだけど、それって男が飲む強精剤じゃね?と突っ込みたくなりました(笑)
ながっち当時、あそこまで日本語が飛び交う洋画は無いに等しかったんじゃないでしょうか?
TZK「2つで十分ですよ!わかってくださいよ!」
画面から日本語が聞こえるのが新鮮すぎて、耳にこびりついたよね、この台詞。
TZKハリソン・フォード演じるデッカードよりも、追われるレプリカントの方が存在感あるんだよね。地位は自分より下であっても、一般の人間より体力も知力も優れた人造人間の存在は、脅威だと思う。嫉妬もあるかもしれない。レプリカントが4年の寿命しか与えられていないってのは、人間からすると自己防御仕様なんだろうな。
ハリウッド映画の中では、いまだ白人がストーリーの中心を担ってるけど、現実のアメリカでは、白人はマイノリティーになっちゃったよね。アジア人含めた有色人種の方が多くなってる。どんどん「ブレラン」の世界に近づいてるかも。
さすがにCO2問題があるから、火炎を吹き上げる建築物は造られないだろうけどさ(笑)
ながっち「ブレードランナー」以後に考えられた、荒廃した未来の地球の姿って、みんな酸性雨が降ってますよね(笑)
TZKですねー。「ブレラン」以降は、未来の街は混沌としたアジアになってきてるよね。大友さんの「AKIRA」や劇場版「攻殻機動隊」とか。
幕張メッセあたりに行くと、「ブレラン」以前にイメージされた、昔の人が思い描いた未来都市って感じがプンプンします。
ながっちリドリー・スコットは『エイリアン』と共通の世界として、『ブレードランナー』の世界を作り出したみたいですね。
TZK2つの作品の世界はつながってるんだ。地球と宇宙とで。
ながっち確かに、『エイリアン』の登場人物が『ブレードランナー』の世界を歩いていても違和感ない(笑)
TZK「エイリアン」では、宇宙船を所有する会社が、やたらエイリアンのサンプルを持ち帰ることにこだわってたし。はっ、そうか。レプリカントの労働力は不可欠なんだけども、彼らの反乱を恐れて、天敵としてエイリアンを飼い慣らそうとしていたのかも。
ながっちああ、そうなると『エイリアン vs レプリカント』なんて作品が生まれる可能性もあるじゃないですか!(笑)
リプリーが、実はレプリカントでもおかしくない気がしてきました。(笑)
TZK僕もです(笑)「ブレラン」で、リドリー・スコット監督は、デッカードもレプリカントであるという解釈を含めたかったようだけど、ハリソン・フォードはその解釈には反対だったようですね。
ながっち撮影時に役者のテンションを下げてはマズいので、その件に関しては監督側がおりた感じなんでしょうか?
けどディレクターズカットからは、かなりデッカード=レプリな感じですよね(笑)
ユニコーンの夢も、確かディレクターズカットからでしたよね?
TZKそうそう。てっきり「レジェンド / 光と闇の伝説」の未使用カットを流用したのかと思っちゃいました、ユニコーンのシーン。ちゃんと「ブレラン」のために撮影されたものなんですよね。
ながっち僕は初めてディレクターズカットを見た時は、ユニコーンの夢を入れた意図がわかってませんでした…。
TZKラストで出てくる、折り紙で作ったユニコーンと対で考えないと、夢の部分だけ観ても分かりにくいよね。ユニコーン=永久の命の象徴だと知っていても。
TZKハリソン・フォードより、レプリの大将演じたルドガー・ハウアーが完全に持ってちゃった映画ですよねー。
ぼくは、最後のハンティングごっこで、窓から身を乗り出したロイ・バッティが、ふっと意識が遠のきそうになって、次の瞬間には機敏な行動に出るところが好き。
日中眠たくなると、よくマネした記憶が(笑)
ながっちああ、僕もマネした事ありますね(笑)
ブレードランナーでブレイクしましたよね。ルトガー・ハウアーは。
『ヒッチャー』もHV化して、WOWOWあたりで放送してほしいなぁ。
ながっちそういえば、初めて見た時は3Dな写真もショックでした。
TZK写真にズームアップしていく時、枠線が残像残しながら部分に寄っていく見せ方は、この映画にすっかり擦り込まれて、ついついマネしてきたような気がする…。
あ、ズームアップでなく、3Dで奥に進んでいってんだよね。分かりにくいんだけど。
ながっちあの写真の奥にどんどん入り込んでいくシーン、どうなってるのかよくわからないです(笑)
写真が3Dになってるのは、今だからなんとか理解できるって感じですよね。
あの頃に、あのビジュアルを考え出したのは凄いと思いますよね。
TZKぼくは、あのインターフェイスというか、マシンへの指示の出し方がよくわからないです(笑)
ながっち確かに(笑)
そのシーンだったか? デッカードの部屋の奥にも盆栽らしいものが置かれていて、ちょっと笑いました(笑)
TZK盆栽?気づかなかった。見直してみるね。
デッカードの部屋って、窓から差しこむ外光とサーチライトでどうなってるか分かる暗さだもんね。照明効果なのは分かるのですが、1人で部屋にいるときは、部屋の照明をつけないECO?なんて思っちゃいましたよ(笑)
ながっち盆栽も逆光でシルエットでしか見えません(笑)
ちょっとダイナミックなシルエットに見えるけど、あれはたぶん盆栽。
TZK盆栽って、日本だとお父さんの趣味って感じだよね。
心安らぐよ、と勧められるんですけど(笑)
ながっちヘビなどの生き物も人造だったりする世界だし、盆栽も製造番号とか入っている人造モノかもしれませんよ(笑)
ながっちファイナルカットを観返すたび、劇場の大きなスクリーンで観てみたいなぁ。と思うんですけどねぇ。
TZKファイナルカット版、HDですっごく鮮明になって感激なんですが、色味が若干青っぽくなってます。あれが本来リドリー・スコットが意図していた色だったのか…。
DVDのディレクターズカット・最終版だと、もうちょっとブラウン系の画面だったけど。
ながっちファイナルカット版は、作品のフィルムノワール色を強めるために色が調整されて、青みがかった映像になっているとどこかで読んだような気がします。
TZKなるほど。フィルムノワール調。
蛇といえば。蛇使いレプリのゾラが逃亡して、デッカードに背後から撃たれながらショーウィンドウのガラスを割っていくシーン。音楽との相乗効果ですごく切なくなるんですけど、丸腰で裸同然の人間を背後から撃つなんて卑怯じゃないか?っていつも思っちゃうんですよ。
ながっち確かに。> 丸腰で裸同然の人間を背後から撃つなんて卑怯
けど、その前に肘撃ちだけで呆気なくやられてますからね。デッカード(笑)
ブラスターなしじゃ負ける。と思ったのかも(笑)
デッカードって、ブレードランナーのわりに、やられてるシーンが多く強そうなイメージがないっていうか。
TZKうんうん。
元警官のはずだよね。はじめからブレードランナーだったのかな?
ながっちどうなんでしょう?(笑)
TZK元警官で、ブレードランナーのホールデンがレプリのレオンをVKテストしてる時に殺されちゃったから、急遽ブレードランナーとして雇われたんじゃないか?と思ったんですよ。
急遽な割にはレイチェルには手慣れた感じでVKテストしてるんだけど…。このテストは警官でも身につけてる尋問方法の1つなのかな??
その割に、冒頭でブライアン署長から、レプリの寿命についての説明を受けているのは、なんでだろ?と思っちゃった。
TZKVKって何の略だろ?
ググってみよう。
ながっちレプリの説明を受けてるとこ観ると、めちゃめちゃ素人っぽいですよね(笑)
細かく観ていくと謎が多いなぁ(笑)
TZKVKテスト:フォークト=カンプフ検査 Voight-Kampff test
劇中でのハリソン・フォードは、ドイツ語読みで「ヴォイグト・カンプ」と言ってるって。
さすがにマニアが多い映画ですから、語り尽くされてますなぁ。
ながっち「ブレラン」のマニア多いですよねぇ。
それだけ、いろいろと考えをめぐらせる事が出来る作品ではあるんですけど。
今ではすっかり名作な扱いですけど、一番最初に劇場で公開された時の評判はどうだったんでしょうね?
TZK最初はそれほどヒットしなかったんだよね。ビデオでリリースされてから、どんどん格が上がっていった。
ながっちああやっぱり!こんな弱っちい印象の主人公だし、「スターウォーズ」なんかと比べると内容的にはかなり地味ですよね。(笑)

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