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映画『エンゼル・ハート』を読む[4]

2009 年 9 月 5 日 TZK

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『エンゼル・ハート』のストーリーを、字幕と〈画面〉から私が読み取った内容で、追っていきます。このページでは、カーター薬草店でイバンジェエリンの消息を尋ね、エピファニーと出会うところから、ジョニーの親友だったトゥーツと会いブードゥーの儀式から戻ったトゥーツを待ち伏せするところまでを紹介します。

カーター薬草店

夕立が降る中、道を横断してアーケードに入るハリー。見上げるとそこには「カーター薬草店(HERB STORE)」の看板。
カウンターに並んだ、ガラス瓶に入った液体漬けのカエル。天井からはたくさんの干した植物の束が吊り下げられている。
ハリーはカウンターに立つ黒人女性に話しかける。「”コンカラー”の根はあるかい?」
女主人は「粉末?煎じ薬?」と尋ねる。
どっちがいい?と聞き返すハリー。根が2本で1ドル20と女主人が言うと、店内の箱に座っていた2人の男のうち、老いた方が天井から吊された根を取るために立ち上がった。
ハリーは女主人に尋ねる「”コンカラー”の根をハーレムで売っていた女性がいた。名前はイバンジェエリン。」
ハリーのうしろで作業していた老人が、突然口を挟む。「ここじゃ、みんながその名前さ。詩に出てくる名前だ」
「知ってるよ。そのハーレムの店もカーターという名前なんだ」
女主人はぶっきらぼうに返事をする。「誰でも使うんだよ。ありふれた名前だからね」
「本人の名前は、イバンジェリン・プラウドフット」
女主人は老人からコンカラーの根を受け取り、紙で包装しながら答える。「知ってるよ。よくここへ帰って来たから。病気で死んだ。生まれた故郷の沼へ戻った時にね。誰かを待ってた。」
「詩と同じに?」とハリー。
女主人は包みを差し出して、「そうだよ。1ドル20」
「彼女、誰を待っていた?」
「言わなかった」そう答える女主人を老人はちらっと見る。

カーター薬草店

「薬草店(HERB STORE)」というのがあるんですね。漢方薬屋さんみたいなものかな。
ハリーが注文する〈コンカラーの根〉は、 ニューオリンズ・ブードゥー教でもっとも重要な薬草です。ブードゥー教といえば、ハイチの民間信仰と思っていた私ですが、ルイジアナ州ニューオリンズでは、呪術療法を重視した、ハイチとは異なる独自のブードゥーが発達したようです。

このカーター薬草店の店内も、明かりは窓から差しこむ外光だけで、薄暗さの中、光と影のコントラストが美しい撮影です。

エピファニー1

レンタカーで車を借りるハリー。「1週間?」「長くてもね」と言って現金で支払う。

夕日が美しい平原。貧しそうな平屋の家が並ぶ田舎の村。
立ち並んだ郵便受けで遊んでいる子どもたち。
軒先の椅子に座って外を眺めている黒人女性。
片手運転で景色を珍しそうに眺めているハリー。

墓地に立つ、イバンジェリン・プラウドフットの墓。1918-1947と記されている。少し離れた場所には聖母像が無造作に置かれている。
墓の前には木の板の上に供え物が並んでいる。供え物はみな干からびている。板の端にはブードゥーらしきシンボルマークがチョークで描かれている。
その墓を前にして、ハリーはメガネをはずし、顔の汗をハンカチで拭いている。鼻のシャッポがついたメガネをかけなおした時、子どもを抱いた若い女性がやってくるのに気づき、物陰に隠れる。
女性は手にお供えものを盛った皿をもっている。ぐずる子どもに、「おばあちゃんに会いに行くの。おばあちゃんのお墓よ」
彼女は、エバンジェリンの墓に供えられたものを、持ってきたものと入れ替えている。そして香油を手のひらにとり、両腕にすりつける。
「帰るのよ。手をつないで」子どもに言うと、女性は墓地から去っていく。ハリーは物陰からゆっくり出て、女のあとを追っていく。

水道の蛇口から流れ出る水で、さきほどの女性が髪を洗っている。
子どもは傍らに座っている。
そっと彼女に近づこうとしたハリーだが、犬に吠えられ、放し飼いにされたニワトリの間をぬってやってくる。
「失礼」まず子どもがハリーを見上げる。「プラウドフット?」
髪にシャンプーの泡がついたまま、声の方へ振り返る女性。子どもが泣き始めてしまう。
「ご免よ、これ、コニーアイランドでもらってね」ハリーは鼻のシャッポ付きサングラスをかけていて、子どもを怖がらせたと思って謝り、サングラスをはずす。
怖がって泣いている子どもを、女性はあやすように頬ずりする。再び水道の水で髪を注ぎながら、「泣かないで」と言うと、子どもはぴたっと泣くのをやめた。
「君のお母さんと話したかったんだが」
女性は髪をすすぎ続けて「ほんと?手遅れだったわ。知り合い?」
「会ったことはなかったが、少し質問したかった」
「刑事さんなの?」
「いや、ハリー・エンゼル」握手しようと手を差し出す。彼女は濡れた右手をスカートで拭いてから握手をする。
「私立探偵なんだ。君は?」
「エピファニー」
「ママは美しい名前をくれたね」
「それだけよ」
「実は君のママの友達を捜している」
エピファニーは水道の栓を締め、濡れた髪を手で受けて振り返る。
「ジョニーという男だ」
腰を下ろして見上げるエピファニー「そんな名前のお友達には会わなかったわ」
急にハリーの足下でニワトリが騒ぎ出す。
慌て狼狽えるハリー「イヤだな。離れてろよ。ニワトリは苦手だ」
エピファニーは笑顔になって、髪が前に落ちてこないように左手でおでこを押さえる。
ハリーも笑顔になる。
「ジョニーは君のママと親しかった。戦前ニューヨークで」
「聞かなかったわ。母は男好きだったの」
「トゥーツはどう?ジョニーの友達なんだが…ギターの名手だよ。今夜、演奏を聞きに行く」
エピファニーは、ただ黙って爪を咬む。
「ぼくはこの町のホテルに泊まるから。何か役に立ちそうなこと思い出したら、電話してくれないか。」
ハリーは胸ポケットからメモを取り出し、1枚破いて手渡す。
すこし間があってから、そのメモを受け取るエピファニー。
そんな彼女の顔をみて「君は美しいな。名前にぴったりだよ。」
立ち去ろうとしたハリーの足下にいるニワトリが怒り出した。彼女はちょっとはにかんだ表情で、離れていくハリーに声をかける。「なぜジョニーを追うの?」
「追ってないよ。ただ捜すように頼まれた。」
「墓の下かもね。」
ハリーも、かもね、というジェスチャーをして、鼻のシャッポつきサングラスを顔にかけ、彼女に手を振る。そしてちょっと屈んで子どもにも手を振ってみせる。
エピファニーはちらっと子どもの方を見てみる。もう泣いていない。
姿が見えなくなるまで、ハリーは子どもたちとじゃれ合っている。

ハリーとエピファニー

ジョニーの愛人、イバンジェリンはすでに死亡していました。8年前に。
でも墓地を訪れたことで、イバンジェリンの墓にお供え物を持ってくる娘・エピファニーを見つけることができました。

エキゾチックな美しさを持ったエピファニー。水道で髪を洗うという登場の仕方が、純潔さとエロティズムを感じさせて、とにかくいいです。
今観ると、「Black & White」を歌っていた頃のマイケル・ジャクソンに顔が似てるとか、目のあたりがさかな君に似てるとか思ってしまいますが、少女でも大人の女でもない、この時でなければ醸し出せない透明な輝きをフィルムに焼き付けてます。演じたリサ・ボネットは、この時18〜19歳くらいでしょうか。その後レニー・クラヴィッツと結婚したんですよね(すでに離婚してますが)

子どもを前にしたハリーは、やたら挙動に味のあるおっさんです。
コニーアイランドでもらった鼻のシャッポ付きサングラスをして現れたことで、子どもを怖がらせてしまったと思いこんで謝るハリー。立ち去る時、遊んでいる子ども相手にかまってみたり、少し屈んで子どもにも手を振ったり。こんなミッキー・ロークを、それまで観たことがなかったので、「いい奴じゃん」と好感度をぐんとアップさせたシークエンスでした。

ギターの名手トゥーツ

黒人バンドによるブルースのライブ演奏。ギターを弾きながら歌っているのが、トゥーツのようだ。
ハリーはビールを片手に、ステージを見ている。
店内の観客は気持ちよくノっていて、演奏が終わると大きな拍手が沸き起こる。ハリーもビール瓶を脇に抱えて拍手を送る。
鳴りやまない拍手の中、トゥーツは一人ステージを離れ、カウンターバーにやってくる。
そこへハリーがやってきて隣に座る。「すばらしい歌でした。スイートさん。一杯いかが?」
ハリーが「スイートさん」と名前を間違えているのを、軽く「トゥーツ」と訂正し、一杯おごってもらうよりも、とても口当たりがいいサービスのカクテルの方がオススメだと言う。
「昔、ニューヨークで演奏していたろ。戦前にディッキー・ウェルズ・バーで、あなた共演してたでしょ、ジョニー・フェイバリットと」
トゥーツは相手にしないという感じで、「そう、うろ覚えだが」
ハリーはつっこんで尋ねる「親友だったんでしょ?」
「付き合いは浅かったよ。あんた、デカかい?」
トゥーツは警戒していたのだ。
「いや、ぼくは記者でして、今、取材中なんですよ。ジョニーとスパイダー楽団をね」
「スパイダーならドラムをやってた。もう行くぜ。ヒマがない。また仕事だ」
トゥーツは席を立って、ハリーにもカクテルを勧める。「きっと気が大きくなる。新聞記者にはぴったりだ」
フロアに向かっていくトゥーツを煙草の煙で見送るハリー。

次のステージは、黒人女性ボーカリストのナンバーだ。トゥーツの姿は見えない。

トゥーツがギター&ボーカルをとる小さなライブハウスでの演奏シーン。音楽ものが十八番のアラン・パーカー監督ですから、職人技が生きています。
画の切り取り方、拾い方がうまい。音を捉えた画のカットイン・タイミングがうまい。そして音楽が鳴り響いている場の空気感を伝えるのがうまい。
ミュージック・ビデオ的編集ともいえますが、どこでなにを狙った画をはめこむか、のセンスが、アラン・パーカーの持ち味だと思います。カメラをまったく意識していない人の顔を、意図して撮影された画と組み合わせることで、場の空気感に伝えるというマジックです。

トゥーツという男

ハリーはトイレに入ると、やっぱりな、という顔になる。
小便器には誰かが立っているので、トゥーツはその後ろで順番を待っている。
ハリーはトゥーツの立つすぐ横にある洗面台にやって来て手を洗う。トゥーツの方へ向き、「ジョニーとイバンジェリンのことを聞きたい」とつぶやく。
「おれは何も知らねえよ」
画面右側にあった人の影は、用を済ませて立ち去る。
「近ごろここのカクテルに夢中なだけさ」ミュージシャンらしいトゥーツの言葉。
ハリーは洗面台にある鏡に向かって、手に水をつけ髪の毛をセットしている。
ふと右側に目をやると、小便器の上に、リボンで結んだニワトリの切断された脚が置かれていた。おっかなびっくり指でつつき、リボンの方を指先でつまむと、トゥーツの顔の前に差し出した。「これは何だい?」
トゥーツは怒って「余計なことに気を回すな」と言い捨てる。
突然、ハリーは背後から男に掴まれてトイレから出されると、ニワトリの脚先を鼻に押しつけられ「早く出て行け!さもないと痛い目にあわしてやるぜ」と巨体の黒人男から脅される。女性ボーカルのブルースが演奏されているフロアの端を、ハリーは巨体黒人男に掴まれ、引きずられるように歩かされて、ドアから店の外に放り出される。
ちょうどクッションになるところに積み上がっていた段ボールが、ハリーの重みで崩れる。

トゥーツはジョニーの親友と言われていたギター弾き。女と2人きりでいる時のジョニーは知らないまでも、それ以外のジョニーを一番知っていた可能性のある人物です。
「ジョニー」の名前が出た途端、はぐらかしてはいるけれど、警戒しているのが分かります。そしてニワトリの脚の意味を問いかけるハリーに「余計なことに気を回すな」と怒り出します。
あきらかに何かを隠しています。何かを恐れています。

ハリーとトゥーツのやりとりに気を取られていると、トゥーツが用をたすのに順番待ちしている間、画面の端をふさいでいる人影を見落としてしまいます。2度目以降の鑑賞で、「ああ、この時ニワトリの脚が置かれたのか」と気づくことができて、トゥーツだけでなく、集団が何かを隠したがっているのだと分かってきます。

ブードゥーの儀式

夜、店の前で張り込んでいたハリーは、ドアからトゥーツが現れ、車に乗り込むところを目撃する。
その車をハリーは尾行する。かっこいいブルースのBGM。ハードボイルドな雰囲気が高まる。

太鼓を叩く手。たき火をしながら、女たちがニワトリを手に持って振り回し、歌い踊っている。
男たちは踊る女たちを取り囲むように座り、さまざまなものを叩いてリズムを刻んでいる。
ハリーは物陰から祭りの様子をじっと見つめている。
舞の中心には、ひときわ目立つ白いドレスの女性が、ニワトリを高く掲げてトランス状態になっている。
ハリーは目を疑う。その白いドレスの女性はエピファニーだった。
高鳴るドラム。彼女は高く掲げたニワトリの首を、剃刀でかっ切る。
ドラムを鳴らし続ける男たちの中には、トゥーツがマラカスを鳴らして参加していた。
ニワトリの首からしたたる血が彼女の顔に垂れてくる。その血を顔に塗りたくり、さらに踊り狂う。
ドラムは鳴り続き、熱気が満ちる。
エピファニーはニワトリを地面に置くと、ひざまずいて地面を激しく叩き付け、大地とファックしているかのように腰を動かしだした。
ハリーは見てはいけないものを見てしまったかのように、周囲を見渡して車に戻っていく。

踊り狂っているエピファニーは、胸を片方さらけ出し、一緒に踊っていた女を押し倒して、馬乗りになり腰を動かしている。

ブードゥーの儀式

あとの方で、この儀式は〈シュバリエ〉と呼ばれるものと分かります。
ブードゥー教の儀式では、精霊の乗り移る憑依状態となるために、激しい太鼓のリズムによるダンスが行われ、鶏、猫、山羊、牛などの生贄が捧げられます。精霊に乗り移られた人間は、精霊から危機を乗り切る方法を教わり、その後も恵み深い保護者として精霊がとどまると言われています。そして病人を助ける立場となります。ニューオリンズ・ブードゥーは、とくにこの呪術療法を重視したものと言われています。

この儀式で、エピファニーは中心的な存在であることが分かります。ブードゥーの儀式は、なかなか部外者が目にすることはできないものです。この映画の儀式シーンがどの程度正確なのかは分かりませんが、1955年の白人ハリーにとって、奇異で黒呪術的なものにしか見えないとしても不思議ではありません。なんといってもハリーの苦手なニワトリの生き血を体に塗りたくってる儀式です。ハリーのニワトリ嫌いという設定が、この儀式と無縁とは思えません。

そしてジョニーのことを一番知るキーパーソンであるトゥーツもこの儀式に参加しています。ということはジョニーもブードゥーの儀式に参加していた可能性もあります。
ヴードゥー教のロア(Loa)と呼ばれる多数の神々は、大きく分けて、西洋の白魔術に近い癒しの「ラダ」と、威嚇的で願望を早く叶えることができる「ペトロ」に分けられます。「ペトロ」には豚が生贄として捧げられますが、もし強い願望実現を西洋魔術で実現しようとするなら、人間を生贄とする黒魔術の儀式になります。
ジョニーを取り囲むペンタグラムを身につける人々との接点は、このあたりにあるのでしょうか。

*ニューオリンズのブードゥーについてはこのページの説明が参考になりました。

回る換気扇。幾何学的に作られた階段ホール。スリット状の影が壁におちて美しい。
その暗い階段をトゥーツが疲れた足取りで上がっていく。
部屋の鍵を開けていると、突然背後からハリーが飛びかかってきた。
しかし体の大きいトゥーツはビクともせず、反対にハリーは振り落とされ、床に転がってしまう。
トゥーツは落ち着いて剃刀を取り出すと、刃先を振り回し、押さえつけようとしていたハリーの手の甲を切りつける。
ハリーは剃刀を振り回すトゥーツの肘を掴んで固定すると、力まかせに突進し、2人揃ってドアを開いて部屋に転がり入る。剃刀の刃は血が付着したまま床に落ちる。取っ組み合う2人。棚の上にあった陶器の天使像が、落ちて割れてしまう。砕け散った天使像の場所には、タロットカードも散乱していた。

ハリーは、思い切り拳を振り下ろす。「トゥーツ、おとぼけの時間はもうおしまいだ。」
床に転がるトゥーツに近づいたハリーは、ネクタイを締め上げ、落ちた剃刀を拾い上げると、トゥーツの顔に近づける。
「あんたとあの女を見た」
ハリーの顔には狂気が宿ってきている。「あのニワトリの儀式もな。お前たちブードゥー教の信者か?」
目をつぶって朦朧としてきたトゥーツは、力なく答える。「ここじゃ大勢いる」
ハリーはつづけて「あのエピファニーの役は?」
「13歳の時から母親と同じ巫女(みこ)だった」
ハリーはトゥーツの首から手を離すと、傷を負った左手にハンカチを包帯のように巻きつけて尋ねる。「ジョニーの姿を最後に見たのもあんな儀式の時か?」
「戦前に会ったきりだ」
「便所にあったニワトリの脚は何だ?」
「おれへの警告さ」

トゥーツの歯

「つまり、あまりしゃべるな。という教団の警告か」ハリーはトゥーツの口を開かせると、前歯に銀のペンタグラムが刻まれているのを確認する。
「ホテルの電話番号を教える。何かあったら連絡を」メモを取り出してペンを走らせると、やぶいて折りたたみ、トゥーツの口につっこむ。
暗い廊下を下っていくハリーの足。そこに剃刀がぽとっと階段に落ちる。

トゥーツの帰宅を待って、強引にでも聞き込みを企むハリー。
ところが、トゥーツは落ち着き払って、懐から折り畳み剃刀を取り出し、振り回してハリーを退けさせます。なぜ剃刀を携帯してる?たぶんブードゥーの儀式で、ニワトリの首をかき切るのに使った剃刀でしょう。
2人が取っ組み合って棚から落ちる天使像に、何でここにキリスト教関連の像が?と思いました。そういえば、エピファニーの母親であるエバンジェリンの墓の脇にも、聖母像が置かれていました。
ブードゥー教はアフロ・アフリカン宗教にキリスト教の聖人信仰がミックスされたものなので、ブードゥー教の信者が、同時にキリスト教を信仰しているケースも少なくないそうです。つまりその逆も。「ここじゃ大勢いる」というトゥーツの言葉は、表向きキリスト教信徒でも実は同時にブードゥー、という人たちが多いことを物語っています。西アフリカから連れてこられた黒人奴隷が、白人社会の厳しい現実に立ち向かうため、自らの民俗信仰に表向きのキリスト教を融合。さらにさまざまな宗教要素をどんどん吸収していきつつも、ひとつの信仰体系として成り立っている柔軟さにたくましさを感じてしまいます。

ジョニーを介して、間接的なつながりでしかないと思っていた、エピファニーとトゥーツ。
実は儀式で2人とも顔見知りだった、という結論。
つい先ほど目にした儀式のインパクトが強かったハリーは、今調査している案件の核心に近いところにトゥーツはいると知りながら、エピファニーのことを問い詰めます。母親(エバンジェリン=ジョニーの愛人)と同じ巫女。スピリチャルなものを持っている娘。トゥーツが隠したがっていたのは、部外者お断りのブードゥーの儀式とエピファニーのことなのかと、ここまでは思います。
しかし前歯に銀のペンタグラムの刻印。サイファー=マーガレット=トゥーツがこの印でつながりました。トゥーツもまた悪魔崇拝者なのでしょうか。
なのにハリーは、首を締め上げ、ぐったりしてしまったトゥーツを、それ以上問い詰めません。ファウラー医師の時と同じように。

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