My First NY3-MoMA/Joyce Theater
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僕にとっては、MoMA(The Museum of Modern Art)を訪れることが、ニューヨークを訪れたことの証のように思っていた。
 
街のポスターとゆい



今日は一日中雨で、夜からは激しく降るらしいので、ホテルから近い【MoMA(ニューヨーク近代美術館)】に行くことにした。
今MoMAでは、独特な手法で巨大なポートレイトを描く話題のアーティスト、チャック・クローズ展をやっている。こういう情報が、日本の雑誌で手に入ってしまう時差のなさが凄い。

でもその前に、朝食をとらねば。
昨日ロックフェラーセンターの近くに、イタリア系のおいしいサンドを売っているDELIをみつけたので、今日もそこで済ませることにした。決して安くはないんだけど、マズイものは食べたくないしね。こっちは、野菜がおいしい。特にトマトとバジルが。新鮮なのも嬉しいな。

詳しい内容はこちら
・MoMA
・MoMA:Chuck Close
・Joyce Theater

1998年4月現在

カメラを持ったTZK
MoMAは、多くの人が詰めかけていた。
大きな本屋では、チャック・クローズの作品集が目立つところに並べられていたし、話題の展覧会なのだ。にしても、平日の昼間からアートに触れようって人がこんなにいることには驚き。
僕らは先に、4Fのデザイン/建築のパーマネント・コレクションから観ていくことにした。これまでインダストリアル・ミュージアムには行ったことがなかったし、MoMAと言えば、生活用品や工業製品までを含めてアートと定めたところがポイントだからね。
フェラーリから始まる展示品は、とにかく新鮮だった。ベアリング・ボールやサーフボード、スプーン、ケトルなどなど。シンプルで美しい製品が、売り物ではなく芸術品として展示されている。
イスなどの家具類はイタリアものが多く、工業製品はドイツが強いんだね。やっぱりというか。
そうそう、コンピュータでは、IBM ThinkPad701CとApple Macintosh SEが展示されていた。

次に、チャック・クローズの回顧展へ。
写真と見間違えるほどリアルに描かれたポートレイト。そして、それをグリッド分解して、色の濃淡によって描かれたポートレイト。
発想はすごくデジタルのピクセルに近いんだけど、マス目を単色で塗りつぶすだけでなく、印刷の網点のような処理をしたり、円を描いた中に別の色を置いたりして、マクロなレベルで生命感を感じさせる作品だ。
クローズアップで部分を観ているとまるで抽象画なのに、1m以上離れて観てみると、きちんと人の顔になっている。
パーツ単位ではかなり大胆な色を組み合わせているにも関わらず、全体でみると、きちんと調和がとれている。
なぜその色の組み合わせで顔の陰影や皮膚の凹凸まで感じさせることができるのか、とても不思議だった。
1点1点がとても大きな絵なので、完成させるのにものすごいパワーがいることだろう。圧倒された。

続いて、写真の展示室へ。
ここには有名な写真家の作品が1点ずつ展示されていた。
アンセル・アダムス、ブラッサイ、シンディ・シャーマン、ダイアン・アーバスなどのオリジナル・プリントを観ることができたのは嬉しかったが、ちょっとダイジェストすぎるような気がした。

次は、2F、3Fにあるパーマネント・コレクションへ。
上野の森美術館で開催されたMoMA展で観た絵画と再会した。いわゆる美術の教科書に出てくる印象派の絵画のホンモノたちである。
ほかに手足が異様に長い彫刻で有名なジャコメッティの作品や、ウォーホル、リキテンスタイン、ポロックなどの近代アートたち。
そして、狂気を内包した恐い画を描く、フランシス・ベーコン。
僕はこのあたりの絵画って、けっこう好きなんだけど、ゆいは精神的に恐いといって疲れてしまっていた。

チャック・クローズ展と並行して、2つの企画展が行なわれていた。
建築と家具のあり様をみせるAlvar Aulte展、プリミティブな形で人物を構成させるフランシス・レジエ展。
レジエの画ってあんまり好きじゃないからパスして、Aulte展だけ観てきた。
こぢんまりした展示スペースには、建物の設計図や、イス、パース模型などが展示されていた。

MoMAの地下には、シアターが2つある。
ここでは現在、New Director,New Filmという特集をやっていて、東京国際映画祭ヤングシネマ部門、インターナショナル・コンペ部門に出品されるような作品を日替わりで上映していた。
昨日は、ヤングシネマ部門で観た『ジャンクメール』を、別の日にはコンペ部門で観た『パーフェクト・サークル』(グランプリ受賞作品)を上映している。
うらやましーなー。ニューヨークに住んで、毎日このシアターに通いたいぃぃぃ!

ミュージアムを見て回るのは、けっこう疲れる。
おまけにニューヨークにある建物は、みんな禁煙だから、タバコを吸うためには玄関を出て外で吸わないといけない。どのビルの前でも、ドア付近で喫煙者がタバコを吸っている姿を見かけるが、これってけっこう感じ悪いよね。
というわけで、一服するために外にでて、MoMAのデザイン・ショップを見ることにした。
このショップにあるようなミュージアル・セレクト・グッズは、最近東京でも買えるようになった。「あ、これあそこに売っていた」というものばかりで、ちょっと新鮮さに欠けたかな。


さて、今晩は、チケットをとった『BALLET TECH』がある。
早めの夕食をとるために、はじめて地下鉄に乗ってグランド・セントラル駅へ。
この駅の地下にある「Oyster Bar & Restaurant」というレストランで食事をした。
ここは、吉田秋生のコミックス『BANANA FISH』で、アッシュが金持ちの息子に化けて食事をしに行ったレストランだ(単行本7巻)。ゆいが、そのときアッシュが注文したメニューを覚えていて、同じものを注文して食べた。うふふ。


Ticket
無事予約が通っていて安心したチケット
今回のスケジュールでは、残念ながらチェルシー地区のギャラリーをフォローすることができなかった。でも、今夜のステージは、チェルシーのジョイス・シアターというダンス・パフォーマンスをメインにしている劇場で行なわれる。
テレチャージで予約したチケットがきちんと取れているかどうか心配だったが、問題なく取れていて安心した。取れていない、ということもよくあるのだそうだ。
『BALLET TECH』は、エリオット・フェルドという有名な振付け師が、公立学校に通う子どもの中から厳選した人材に対して開いたダンス・スクールで、公演は今回で2年目になるらしい。
ということで、出演者はみなハイスクール・エイジまでの子どもたちだ。
洗練された動きではないが、踊ることで自分に価値を見いだしている生命感にあふれたパフォーマンスだった。
特に、ソロをとった黒人(ヒスパニック?)の男の子が、群を抜いてよかった。
体の固い僕にとっては、嫌味なくらいしなやかで表現力にあふれた動き。
すぐ疲れてしまう僕にとっては、嫌味なくらいエネルギッシュなソロパート。
すべてのダンスの基本はバレエにあると言うけれど、確かにこういう動きを見せつけられてしまうと、憧れてしまう。
ストリート・ダンスからバレエに憧れを抱くなんて、まるでまるで『フラッシュ・ダンス』のようだ。
音楽は、マイケル・ナイマンのようなミニマム・ミュージックと、ケルト音楽を使用しており、今晩はスペシャルで1曲ライブ演奏もあり、得した気分になった。



さて、終演は22:30。
雨はかなり激しくなっていて、風が強くなっている。
最寄りの地下鉄の出口はすでに閉まっているので、イエロー・キャブをひろってホテルに戻らないといけない。
劇場前にあふれた人が、みなキャブを待っているので、なかなか捕まえることができない。空車も少ない。
寒くて、ずぶ濡れで、ちょっと悲しくなってきた。
場所を変えようかと思っていたとき、二手に分かれていたゆいが、空車を捕まえてくれた。ありがたい、これでホテルに帰れる(涙)


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