地球に落ちて来た男  TOP
Story

ニュー・メキシコの人里離れた湖に、宇宙船が不時着した。
降り立った男はトマス・ジェローム・ニュートン(デビッド・ボウイー)という英国人を名乗り、特許に詳しい弁護士ファンスワースに会見を求めた。そしてニュートンが持ち込んだ通信機やフィルムなど9つの基礎技術特許から、先進的大企業ワールド・エンタープライズ社が誕生する。

ニュー・メキシコの小さなホテルにやってきたニュートンは、エレベーターが上昇をはじめた途端にパニックとなり、気を失ってしまう。メイドのマリーは、心配して彼に付き添っていくうちに、特別な感情を抱くようになった。
しかしニュートンの心の中では、干ばつ化した故郷の星に残してきた家族の姿が、フラッシュ・バックで現れるのだった。

ネイサン・ブライス教授は、教壇に立ちながらその教え子とセックスにふける毎日を送っていた。
そんな生活を送りながらも、ワールド・エンタープライズ社の先進性に心惹かれていた彼は、社長のファンスワースに売り込みをかけていた。
研究員としてワールド・プライズ社に招かれたブライス教授は、ニュートンが密かに進めていた、故郷へ帰還するための宇宙船建造計画に関わることになる。
目的を知らずにニュートンと仕事を組んでいたブライス教授だったが、彼に人間離れした何かを感じ取り、隠しX線カメラによって彼の正体を知ってしまう。
同じ頃、ニュートンはマリーの前で自ら本来の姿をさらけ出した。恐怖に叫び声をあげ失禁するマリー。

いよいよ宇宙船が完成し、世界中の人間が注目する中現われたニュートン。だが、ワールド・エンタープライズ社に脅威を抱くアメリカ政府の関係者によって、宇宙船搭乗直前に連れ去られてしまった。
豪華な調度の部屋に軟禁され、人体実験が続く毎日。
ある日マリーが実験室に現われた。ひととき享楽的な日々をともに送ったが、決定的な決別を迎えることになる。
当初は水しか飲まなかったニュートンは、今や酒びたりになってしまっていた。
どれくらい月日が経ったか。気がつくと、軟禁された部屋の扉に鍵がかけられていないことに気付く…。

年を重ねてブライス教授はマリーと生活をともにしていた。
ある日レコード・ショップで「VISITOR」というレコードが目に留まり、試聴をしてみる。それは、まぎれもなくニュートンがつくり出した音楽だった。
あるカフェで、ブライスはニュートンと再会した。年を取らず昔の姿そのままのニュートン。
いつかラジオで聴いてくれることを祈って、妻のためにレコードを出したと語るニュートン。またいつか帰る機会があるとも静かに語った。そして帽子を目深にかぶった彼は、ゆっくり頭を垂れ、そのまま動かなくなった…。



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